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猫又、化け猫、福猫、猫のフォークロア


by nekomanisto

立川 阿豆佐味天神社 内<蚕影神社>

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五日市街道沿い、立川の砂川四番交差点そば。

久しぶりに出張って参詣せんと思ったのに、生憎の雨で、しかも境内は「ペット禁止」と書いてあったので、仕方なく車内にて待機し、助手をやった。
この神社は隣の殿ヶ谷村から寛永6年(1629)に勧請されたものだという。隣なのかどうかよくわからないが、瑞穂町にも同名の神社があるから、それがモトの神社なのかな。これはあとで助手にしらべさせるとしよう。

「猫返し神社」として猫バカ人種たちに有名なのは、この境内にある蚕影神社(こかげじんじゃ)のことだ。この地で養蚕が盛んだったころに、勧請された神社で、ここで猫に関するお願い事をすると、霊験あらたかだということらしい。
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養蚕と猫の関係は深く、「お蚕さま」を鼠から守るために我々猫は珍重された。実際、我々はかなり高値で取引されていたらしいから、必要な人々が全員我々の手を借りることはできなかった。それで「猫絵」だの「猫石」だのと、我々猫の「代わり」の品が明治初頭まであったという。
おそらく、「猫返し」というのも、お稲荷さんなんかで今もよくある「融通金」みたいに(祈祷されて清められた5円玉が包んであって、それを「お借り」して帰って、商売繁盛や金運上昇を願い、願いが叶ったり、年が替わる時にそれを倍にして「お返し」するという、アレです)もとは「猫石」を神社から「お借り」して、1年間鼠から蚕を守ってもらって、お役が済んで「お返し」する、ところあたりに端を発しているのではないかと思うのだが、ともかく、猫が行方不明になったら、この神社にお願いすると、猫が無事帰宅するということになっているらしい。
近年、ジャズピアニストの山下洋輔氏が、氏の愛猫がちょっと羽根をのばして外泊しているのを心配し、この神社にお参りしてお願いしたら、翌日愛猫が帰ってきたというのをどこかで書いたか話したかして、一躍「猫返し神社」として有名になった。
折りしも初詣期間のためか、境内には山下洋輔氏「奉奏」なるピアノによる「越天楽」が流れていたそうだ。普段の氏のアバンギャルドな演奏スタイルからは想像のつかないほど、敬虔な演奏であったと、助手は目を丸くして報告していた。
神社の前の絵馬の奉納場所には、沢山の三毛猫の絵馬がかけてあって、助手がちょっと失礼して何枚か拝見させて貰ったそうだが、内田百鬼園先生もかくやと思われるような切なる願いの数々、思わず視界が潤んだと言っていた。
深窓の霊猫たるぼくが、行方不明になることはよもやありはしないと思うからと、助手はぼくの無病息災をお願いして帰ってきたそうな。
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しかしね、この神社には数々の神様が合祀されていて、最近のメインの神様は安産の神様水天宮さんなので、縁日が戌の日なんだよな。
by nekomanisto | 2006-01-03 02:06 | - 立川 阿豆佐味天神社