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猫又、化け猫、福猫、猫のフォークロア


by nekomanisto

はじめの仮説

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どうも。あるじのかーです。

ある日、眠っている僕の横顔を覗き込んだ助手のキョーコが申しました。
「こうやってみると、猫の顔って、お稲荷さんに似ている。
そもそも、お稲荷さんのお面とかって、全然ホンモノの狐に似てないよね。あれ、実は猫だったんじゃないかなぁ。」
キョーコは当然そのときあてずっぽうにそう言ったのですが、我々猫族が、日本人の皆さんに一般的に姿を知られるようになったのは、江戸時代中期のころだと推定されます。それまでは、特権階級の人々が繋いで室内飼いにしていたということですから、繋がれていた我々の祖先が、何かの拍子に桎梏を解かれ、あるいは脱走して屋外へ出て行ったなら、人々が「少し様子の違う狐」(若しくは狸)と誤認した可能性はあります。だから、その可能性、お稲荷さんの正体は猫、という仮説は有効ではないか、とキョーコに教えてやりました。
すると、重ねて
「じゃぁ、所謂モノノケの類のいくつかも、猫を知らないヒトが遭遇した猫だった可能性があるね」
とキョーコが言い出しました。暗闇で光る目、ヒトのような唸り声、女性の叫び声のようなシーズンの声、猫を知らなければ、恐ろしいバケモノでしかない。
少々失礼な言い草だとは思いましたが、少々の暗さでもうものが見えず、耳も鼻も鈍い人間族にとっては、無理からぬことかもしれません。我々を猫と認識して尚、我々には怪談・奇談の類が後をたたないのですから。
そこで、このふたつの仮説を軸に、それを検証すべく、我々猫族にまつわる伝承を調査していこうと思います。
by nekomanisto | 2005-07-11 01:08 | 仮説