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猫又、化け猫、福猫、猫のフォークロア


by nekomanisto

猫か狐か

燕石十種(えんせきじっしゅ。随筆雑著集。3巻。岩本佐七編、達磨屋五一補助。文久3年(1863年)成立。10部を1輯とし、6輯60種の近世俚俗の珍書を集めた書)の中にこういった内容のくだりがあるそうだ。

 猫、きつねを産む             ― 江戸塵拾 巻之五 ―

 目黒大崎という所に徳蔵寺という禅宗の寺があり、この寺に数十年生き長らえたまだら毛の猫がいたが、常に山に入って遊んでいた。
 明和元年(1764年)春、この猫が子を産んだ。ところが、この子猫は毛色は普通の猫のように白黒まだらなのだが、姿は猫ではなく狐で、まことに珍しい猫であった。
 この親猫は常に山に入って遊んでいるうちに、きつねと交合したのだろうと人々は言い合った。

んなばかな。我々が狐と子をなすわけがなかろうに。

猫稲荷、と呼ばれる「お稲荷さん」が日本の各地に点在しているらしい。東京にも お江戸日本橋堀留にある。共に稲を鼠害から守る益獣だっただろうから、どっちを祀ってもご利益はあっただろう。

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助手がこの春に京都祇園の祇園会館の裏手、安井金毘羅宮のわきっちょのお稲荷さんで写した灰色猫。不躾にカメラを向けて眼光鋭く睨まれてしまったらしいので、おもいきり狐面のような顔に撮れている。

日本の話ではないが、中国の神話に出てくる八狐子というバケモノが、狐とあるが、正体は目の赤い白猫だという。これは病を運ぶ「猫鬼」の一種で、ごく最近(といっても100年以上前)にもこれの精神病理学的な臨床例がある。
赤目の猫というのはきいたことがないが、妖獣、霊獣の白狐、いわゆるおきつねさん、お稲荷さんそっくりの容姿ではないか。





猫を飼いならし、1歳前後で死んだ人の赤子が出たら、その墓に猫を伴って生き、その墓を暴き「兎歩」を行い呪念する。赤子の屍の首を刎ね、猫の首も刎ね、猫の首を赤子の腹にとじこんで重ねて念呪をかけると猫が人面猫身となってよみがえり、術者の意のままに従い仇をなすという。

…なんちゅうことするんだ。僕がそんなことをされたら、真っ先に術者に報復するぞ。

道教の教えにあるようで、所謂蟲毒の一種です。式神に近いものだとも言えます。
ったく、誰がこんな方法を思いついたんだか。
by nekomanisto | 2005-07-11 13:20 | 伝承