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猫又、化け猫、福猫、猫のフォークロア


by nekomanisto

耳嚢巻之六 猫の怪異の事

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『喋っちゃ悪いか』 『いえ、とんでもございません』

ある武士の家では鼠の害に遭っても絶対に猫を飼わないので、なんで猫を飼わないのかと尋ねたら、なかなか理由を言わない。しつこく聴いたら、祖父の遺言なのだと白状した。
なんでも、祖父の代には猫を飼っていたのだそうだが、ある日、縁がわに雀が2.3羽遊んでいたのを、その猫が狙って飛び掛ったが、逃げられてしまい、まるで小さい子のような声で「残念!」と言ったようだったので、祖父が驚いて猫をとっ捉まえて、火箸を構え、「ケモノの癖に喋るとは怪しいヤツ」と殺してしまおうとしたら、その猫が「今まで喋ったことなんかなかったのに」と言ったもんだから、祖父がびっくりして思わず押さえつけていた手を緩めてしまった。そのすきに猫はどっかへ逃げ去って、二度と戻ってこなかったということがあったので、以後猫を飼ってはいけないという遺言があるのだ。 ということだった。

という話が耳袋に書かれているそうな。
耳袋というのは、江戸時代、根岸ヤスモリ(漢字がありません)という旗本が、天明から文化にかけての30年間に伝聞だの都市伝説みたいなものだの書き溜めた、覚え書きのようなものだそうな。

「猫が喋る」という化け猫の話が沢山日本にはあるけれど、私(助手)が理解できないのは、何故猫が喋ったからといって、慌てて殺してみたり追放してみたりしなければならないのか、という部分であります。喋ったら、嬉しいじゃん?
時々、私(助手)は先生にこっそりお願いしてみるんですけどね。
誰にもバラさないから、遠慮しないで喋ってちょうだいな と。




或る武家にて 番町辺りの由、彼家にては猫を飼ふ事なし。鼠の荒ぬるを家士ども愁ひけるが、或人其主人え其譯尋ねしに、右者は聊譯あれど、廣く語らんは浅々しければ語らざれ、切の尋故申す也。祖父の代なりしか、久しく飼いし猫あり。或る時縁頬の端に雀 弐、三羽居たりしを、彼猫ねらひて飛掛りしに、雀早くも飛去しかば、彼猫小児の言葉の如く、「残念也」と言ひしに、主人驚いて飛かかりて押えて、火箸を以って、「おのれ畜類の身として物言ふ事怪敷」とて、既に殺さんと怒りしに、彼猫また声を出し「物言ひし事なきものを」と言いし故、主人驚きて手ゆるみけるを見すまして、飛び上がって行方知らず成りし故、其巳後猫は飼間敷と申置きて、今以堅く誡め飼わざるよしなり。

…すみません ない字とかたくさんあって、ちょっとでたらめです。
by nekomanisto | 2009-01-24 00:22 | 伝承